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2008.7.12開設。 ショートショートを中心として、たそがれイリーが創作した文芸作品をご覧いただけるサイトです。 できれば毎日作品を掲載したいと思ってます。これからも創作意欲を刺激しながら書き綴って参ります。今後ともぜひご愛顧ください。

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     涙は酒と友達でしょうか
     サンズイ同士
     厚い友情が芽生えるでしょうか
     
     涙は女と親友でしょうか
     言い訳する時に
     厚い友情が芽生えるのでしょうか

     涙は悔しさと夫婦でしょうか
     オリンピックでは
     大活躍な夫婦でしょうか

     涙は自分でしょうか
     自分を守りたくなったら
     理由もなく泣けばいいのでしょうか

     涙は何のためにあるのでしょうか
     何のために重力に身を任せ
     透明の液体となって流れるのでしょうか
     心を着飾るためでしょうか
     悔しさをにじませるためでしょうか
     心の優しさを誇張するためでしょうか

     どうせ流すなら
     嬉し涙であって欲しい
     明日につながる
     そんな涙であって欲しい
     
     後ろ向きな涙は
     疲労困憊した大地に降り注ぎ
     大地をやがて不機嫌にする

     そこから双葉が出るような
     恵みの液体を流したい
     そんな人間で 私はありたい

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     スポーツ万能。
     さらに、チャレンジ精神旺盛。
     不可能と思えるチャレンジでも、巧みにこなしてしまう。
     だけど、そのチャレンジを成し遂げるときにありがちな、汗くさいドラマは、一切感じないし。

     僕はそんな大人になりたい。
     だから、「将来の夢」って宿題が出たときに、あの人のことについて、一生懸命書いたんだ。
     そしたら、先生が僕の作文を見て言うの。

    「タロウくん、人間はいくら頑張っても、ガチャピンにはなれないのよ」

    「何やってる!そんなんでは世界は取れないぞ!」
     20kgの米袋を背負いながら、神社の階段をうさぎ跳びしている長男に向かって、オヤジは竹刀を振り下ろした。
    「しゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
    「そうだ!その意気だ!気合いを入れるんだ!」
    「しゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
    「そうだ!世界の壁は、こんなもんじゃないんだ!」
     なんとか200段の階段を上りきり、さすがに疲労困憊してる長男。オヤジは容赦なく”気付け水”と称して、バケツで水をぶっかける。
     その水に多少生気を取り戻した長男。オヤジの顔をにらみつけ、そのスキンヘッドを真夏の太陽に見せつけながら意気込む。
    「オヤジ!囲碁の世界チャンピョン取るのに、こんな特訓が必要なんかい!どっかの親子じゃあるまいし!」

    「で、前田さん、その息子さんは、どうなったの?」
     氷同志がぶつかり合う音がして、それらにグラスに触れると、心地のいい透き通った音をを店内に響かせた。
     アスカは思っていた。この客から逃れたい。カウンター越しに常連と株価の話に興じるママをみつめ、そっとアイコンタクトを送る。
    「それにしても、カレンちゃん、遅いわぁ…待たせちゃって、ごめんなさいねぇ」
     カレンがこないと、あなたの代わりは居ないのよ。そう言いたげに、ママは店内に声を響かせた。
     
     目の前の客、前田。
     イチゲンさんではないが、常連でもない。
     ただ、思い立ったようにこの店を訪れ、アスカを指名する、小腹の出たチビオヤジだ。
     正直、アスカは前田が嫌いだ。自分を省みてくれない家族への愚痴、批判、それの繰り返しだった。
    「とにかく、俺と口をきかないんだ。ヒロシだけじゃない、妻も…」
     アスカから奪い取るように水割りの満たされたグラスを掴み、それを半分ほど一気に飲み干す前田。
     テーブルにガツンと鈍い衝撃を与え、前田は言葉を続ける。
    「だからこうやって、この店に来て、お前に聞いてもらうしかないんだよ!」

    「いいかげんにしなさいよぉ!」
     アスカは前田の眼前で、目の前のアイスペールをはねのけながら、仁王立ちした。
    「そんなあんたじゃ、ヒロシも母さんも、話なんかしたくないわよ、いっつも口をついて出るのは、愚痴と文句しかないじゃないのよ!」
     前田は少々傾いた眼鏡の位置を直し、アスカを見つめる。
    「ここではアスカなの。私はアスカ。あんたの娘の、佐緖里じゃないんだから!」

    「私のために、争うのはやめて」
     今時聞かれないような言葉。そんなシチュエーションが、今時存在するのか。
     読者の皆さんは半ば呆れるかもしれないが、今目の前に起きているのは事実だった。
     男はその事実を具現化するかのように、対峙するもう1人の男に言い放つ。
    「だめだ、だめだ。お前がどうあがいたって、あいつは俺の女だ。現実をみればわかるだろう」
     相手の男は少々武者震いをして、すかさず反論する。
    「今日は逃げないって決めたんだ。現実からも、お前からも、そして…」
     弱い自分自身にも。言い終わった途端、もう1度武者震いした。
    「現実って意味をしらねーか? 現実と言うより、お前自身を見ろよ。お前じゃ、ダメなんだよ!」
     浅茶色の肌に、男の光る歯が余計輝いて見えた。
    「2人ともやめて。あなたよ、あなたもわかってないわ。現実じゃ、あなたと私じゃ、結ばれないのよ!」
     女も叫んだ。形勢は2対1。勇敢な男の勝負の結果は、既に見えているように思えた。
    「ダメだ。曖昧じゃ、だめなんだ」
     白黒を、はっきりつけるんだ。形勢不利なことも承知で、男は再び武者震いした。
    「俺たちは同じなんだよ。白黒つけるって、もう白黒はっきりしてるじゃねーかよ!」
     インパラのカップルは、サバンナの片隅で、武者震いが止まらないシマウマに、当たり前の台詞を吐いた。

    「人生ゲームみたいな人生だったら、きっとバラ色の人生もあり得るよね」
    「いやいや、貧乏農場行きかもしれないぜ…」
    「でも、子どもが多かったら、みんなからご祝儀もらえるんだよな」
     そんな話をしていたら、いきなり地が割れて…気が付くと、そこはリアルタイムな『人生ゲーム』の世界。
    「おもしろいことを言っていたな、馬鹿な高校生諸君。神のいたずらだ、本当に人生を、人生ゲームで満喫するが良いわ」
     彼たちは喜んだ。
     おもしれえじゃん。俺たちみたいな馬鹿でも、ゲームで勝てば東大に入れるし、金持ちになれんじゃん。
     そんな彼らの姿を見て、神は半分呆れていたが、彼たちの中から順番を決めると、ルーレットを回したのだ。
    「お、10万円拾ったぜ」
    「俺なんか、車もらっちゃったよ」
    「じゃあ俺も…えいっ」
     ルーレットを回す。出た目は6。
     言われるがままに歩き、あるマス目に止まる。
    「できちゃった婚だって? マジかよ?」
     次の瞬間、背中に激痛が走る。
     ギャァー!男の悲鳴がフィールドに聞こえる。
    「人生ゲームじゃからの。子が生まれたら、ピンがたつじゃろ、ピンが」
     男は血まみれになり、今にも息絶え絶えそうな表情で言う。こんな人生だったら、ゲームなんかしねえよ…

     ガバッ。
     男は目を覚ました。悪い夢を見ていたようだ。
     それにしても、なんで高校時代の悪ガキと一緒につるんで…それも人生ゲームなんだ?
     悪い夢を見た後は、なんだか朝日も突き刺さるように感じる。男はカーテンを少々狭めて開くと、麻里を呼んだ。
    「麻里、麻里よぉ」
     トイレかな? それとも、出かけてるのかな?
     同棲中の身とはいえ、やはり彼女が気になる。玄関まで行くと、麻里の靴は丁寧に揃えてあった。
    「麻里ぃ…」
     もう一度呼びかけた瞬間、背後から気配を感じた。麻里だ。
    「なんだ、いたなら返事しろよ…」
    「ねえ、昔の話、覚えてる?」
    「…なんだよ、いきなり」
     振り向こうとする男を、麻里は拒んだ。
     次の瞬間、男の背中に激痛が走る。そして、じわりと温かい液体がほとばしり、足を伝うのを感じた。
    「な…なんの…真似だ…」
    「側にいてくれるよね…私もすぐ行くから…」
    「…ま、麻里ぃ…」
    「お願い…子どもができちゃったからって…別れるなんて言わないで…」

    「母親殺しは重罪だぞ」
    「それは弁護士からも聞いています。覚悟は出来てますよ」
    「どういう覚悟だ。人を5人も殺しておいて、覚悟も何もあるものか。覚悟の前に、することがあるだろう」 「反省ですか? 謝罪ですか?」
    「そうとも言う。わかってるんじゃないか。まあ・・・お前を産んでくれた母親と・・・あと・・・」
    「その母親の後で里子に出された先の、継母でしょ」
    「その母親の後で、お前は養子に出されて・・・」
    「ええ。そこでも義母がいますね。その義母が離婚して、岐阜の元に引き取られた僕は・・・」
    「その義父が再婚するたびに、2人の継母に出会った。その母親たちを、すべて殺した。それも1週間のうちに、惨殺した」
    「・・・」
    「どうだ。お前が謝罪するなら、死刑だ。死んで天国で謝罪しろ。それしか方法がない」
    「・・・忘れてましたよ」
    「何だ? 命乞いでもしたいのか?」
    「違いますよ。僕はね、代理母が産んだ子供なんですよ。だから、本当の母親を殺すのを忘れてました。後悔して死にきれないですよ・・・まあ、とりあえず無期懲役を狙いますよ。完全黙秘と言うことでお願いします」

    「炊飯器が壊れたぞ!なんとかしてくれ!このままじゃ今晩の・・・」
    「ご安心下さい、お客様。我が社では大手量販店初の10年間保証を導入しておりまして・・・」
    「会社のPRはいいから、今晩炊きたての美味い飯を食えるようにしてくれ!」
    「かしこまりました。保証の範囲内で対応させていただきます」
    「本当に、炊きたての美味い飯を食わせてくれるんだろうな!」
    「当社の保証は完璧です」
    「よぉし、30分以内にこい!いいな!」

    「はい、サービスセンターです」
    「さっき、炊飯器の件でお願いした者だが」
    「30分以内と言われましたので、早速手配をしておきました。到着したように連絡を受けておりますが」
    「ああ、確かに代わりの炊飯器が来たよ。だけどな」
    「だけど・・・と、おっしゃいますと?」
    「美味い飯を食わせてくれと言ったんだ。炊飯器だけじゃなくて、美味い米とそれを炊いてくれる女が来ないじゃないか。いったいお前の会社はどういう保証をしてるんだ!」

    「お父さん、見てみて、猫って言うんだよね、あれ」
    「猫だよ。懐かしいなぁ・・・いったん絶滅したかのように思ったんだけど、保護した甲斐があったんだね」
    「じゃあお父さん、あの茶色の、ワンワンとかって吠えてるのは?」
    「あれは犬って言うんだよ。犬もね、お父さんが子どもの時はいっぱい居たんだけどねぇ・・・最近は、絶滅寸前だものなぁ」

    「あれは親子か?」
    「どうやら、夏休みの思い出を作っているようです」
    「思い出か。人間の分際で」
    「そうですとも。こうして疑似惑星を使って、私たちエコー星人が保護してやらなかったら、住んでいた地球もろとも滅びてしまうところだったのにな」

    「どうして賞味期限切れの牛乳なんかを原材料に使ったんだ!」
    「・・・」
    「それに、工場の衛生管理はどうなってるんだ!」
    「・・・」
    「親族経営の企業体質が、間違ってるんじゃないのか!」
    「・・・」
    「店舗を一時休業させたりして、補償も必要だろう!」
    「・・・」
    「とにかく、まずはちゃんと謝罪しろ!」

     ペコ。
     
    「ふざけてんのか!ちゃんとやれ!」

     ふざけてなんか、いません。
     今は、反省しているのです。
     この機会に、今までの自分のことを考えます。
     
     そして、正すべき点を、心から反省してミルキーになっています。
     
     ペコ。

     このだびば、どうじゃのふでぎわにより。
     おおぐのみなざまに、ごめいわくをおがげじだごどを。
     ごごろより、ぶがぐおわびもうじあげまず。

     ごんごば、ごのようなごどがにどどおぎぬよう。
     どうじゃのあんぜんがんりをでっでいじまず。
     ごのだびば、まごどにもうじわげありまぜんでじだ。

    「すみません!すみません!」
    「ばぃ?」
    「先日の事故の謝罪会見と伺っていたのですが、ぜんぜんこれでは謝罪にも何にもなっていませんよ!」
    「いえ。いろいろごじでぎをいだだぎまじで、どうじゃにだりないどごろをぜいじんぜいいのべざぜでいだだぎまじだ」
    「だから広報さん、その不思議な言い回しには何か意図があるんですか?」

    「ええ。いだらぬ『点』がおおいどのごじでぎだっだので、ごんがいのようながいげんをざぜでいだだいだじだいでず・・・」

     ちくしょう!
     この俺が、まんまと引っかかってしまった。
     この家のホームセキュリティをかいくぐり、ようやくお目当てのお宝を眼前にしてるって言うのに・・・
     なんて、なんて古典的なセキュリティなんだ!
     こんなシステムを使う奴らも奴らだが、引っかかってしまった俺も情けない・・・何年この稼業で暮らしてきたと思うんだ・・・もう、じたばだしても・・・無駄だな・・・

    「呼んだ? 母さん」
    「そこのゴキブリホイホイ、捨てといて! 明日は燃えるゴミの日でしょ!」

     もうすぐ明日だというのに
     今日の朝刊を読んでいる
     
     今日もどこかで 人が死に
     いつものように 犯罪は起き
     子どもの気持ちを わかって欲しいと
     読者欄は 盛り上がってる

     明日があるから
     僕は僕でいられるんだろう
     明日のために 今日を生きてる
     昨日は 今日のために生きてた
     明日はきっと 明後日のために 生きるんだろう

     明日の朝刊を 見てみたら
     いつものように 人は死に
     社会が悪いと ニートは叫んでいるだろう

     誰にも 平等に 明日は来る
     だからこそ 大事にしたい
     明日に繋がる 今日のこの日を

     居心地が悪い 通路側で
     僕は左肘を 折りたたんで
     君に肘起きを 明け渡してた

     窓際にたたずむ君は いつものように
     飄々とした顔で 前の席を気にしてた
     
     気にしてないふりして
     そっと目線を向けてみたら
     そのタイミングが 一緒だった
     互いに目をそらす そのタイミングまで

     見てみないふりして
     そっと目線を向けてみたら
     窓に向かって 物思いに耽る 君の横顔
     
     なんだかいつもと 違って見えて
     しばらくずっと 見つめていたら
     君と目があった

     窓に映る 君の視線と
     僕の視線が 重なり合って
     僕は思わず 横を向いた
     何だか少し 照れくさくなって

    「母さん、地震か」
    「そうですねぇ…はい、お茶」
    「私の手が震えているのかと思ったが、そうではないのだな」
    「それだけ思えるのなら、老衰じゃありませんよ」
    「…」
     
     それにしても、最近地震が多い。
     この1年ほど、朝昼晩、三食きっちり取るかのように地震は起こっていた。
     しかし、ここ1ヶ月ほど前から、地震の頻度は増し、今日は午後三時に至る今まで、既に私の記憶では数えられないほどの地震が起こっている。季節は秋を迎えようとしているのに、家の前の街路樹で色づくはずのイチョウの葉さえ、昨今の地震で落葉してしまっているぐらいだ。
    「母さん、区役所には連絡したのかね」
    「ええ、ちゃんと連絡しましたよ。そしたら、やっぱり会社へ申し出ていただく方が対策をしてくださるのではって」
    「何の話だね」
    「あら、目の前の会社にやってくる学生ですよ。会社説明会に詣でるのはいいけど、家の前でゴミを捨てたり違法駐車したりって、なんとかならんのかって、あなた言ってたじゃないですか」
    「そっちはいいから、地震の方だよ。ほら、地下に空洞があるとか、実は断層があるんですとか、区役所で調査してもらった方がいいんじゃないかって言ってるんだ」
    「わかりましたよ、早速明日にでも、来ていただきましょう」
     妻はそう言うと、ハンディ電話のダイヤルを押し始めた。
    「あ、区役所ですか…」
     グラグラグラ。
    「母さん、地震か」
     妻が答えるまでも無く、不気味な揺れは我が家を次第に包んでいくのだった。

     翌朝10時前。
     区役所の職員はそそくさとやってきて、そそくさと地震計を置き始めた。
    「1時間様子を見ます。では後ほど」
     他の業務があるので、と言い残し彼らは黄色の軽ライトバンに乗り、去って行った。
    「なんだ、1時間待ってるんじゃないのか」
    「あの人たちも、お忙しいんでしょうね」
    「なんだ、お役所のくせに」
     私は日ごろから思っているお役所への不平不満を、半ば独り言のように語っていた。
     
     1時間はあっという間だった。
    「体に感じる地震も、感じない地震も、まったく計測されていませんが」
    「…き、今日は、偶然無いんだ」
    「そうですか? それにですね、お宅だけじゃなくて、ご近所でも同様のお声があってもおかしくないと思うんですが、実はそんなお声が無いんですよね…どういうわけか」
    「だから、1時間そこらじゃ結果は出ないよ。1日ずっと調べてくれれば、わかるんだ」
    「うちも人がいませんからね、そんなにお宅の言い分だけをお聞きするわけにはいかないんですよ」
    「う、うむむ…」
     普段心の中で馬鹿にしている奴らにここまで言われるとは。私の胸の中ではマグマが噴出する寸前だった。
    「おまえ、今日の説明会どうだったよ」
    「ああ。いつもにも増して、格好付けといたよ」
    「リーマンになるより、俳優になる方がいいんじゃない?」
    「そうだな。この会社に入社できたら考えるわ、わはは」
     家の前の大企業からは、いつものように会社説明会を終えた学生共がだらだらとネクタイを解きながら私の家の前を通り過ぎていく。
     もちろん、この無作法で非社会的な振る舞いを見て、私の心中が穏やかになるわけが無い。
     もう限界だ。役所の奴らにも、無知な若者どもにも。
     
     その時だ。
     足元のアスファルトが、徐々に震えてくるの感じた。
     私より前に、妻は揺れに気づいていたらしい。どうやら、役所の連中に出すつもりのお茶、湯飲みの中でその水面が震えたらしい。
     役所の奴らも、顔色を変え始めた。明らかに、気づいている。
     路上で今から起こりうる事実に、私は胸を躍らせた。
     そして、役所の無能者どもに聞こえるよう、わざと妻に尋ねた。いつもより、怒鳴るような声で。

    「母さん、自信家!自信家!」

     僕が恋の病と診断されて2週間が経った。
    「あなたは軽度で良かった。あまり重度だと、相手のことを思いすぎて心臓が停止してしまう可能性があるのです」
     退院時に医師は重篤の可能性を告げ、くれぐれもナチュラルな恋のあり方を人生観たっぷりに語った。
     もちろん、そんなことが耳に入る僕ではなかったが。

     退院後、あの娘がいる、いつものカフェに足を向けた。
     こじゃれた参道筋の、オープンカフェ。
     テラスの向こうには、いつものように彼女が・・・いない。

    「彼女は・・・もう来ないよ」
     常連客の帰りを見つけたマスターが、僕のそばにやってきてつぶやく。
     出された氷水を一気に流し込みながら、僕はカウンターに腰を下ろす。
    「なんで、こなかったの」
    「急性の恋の病だったんです。治ったんで、なんとか」
    「・・・遅かった・・・これも運命のいたずらとはいえ・・・本当に、遅かった」
    「どういうことですか?」

     マスターはそのヒゲに一筋の涙を伝わせた。
     急性の恋の病で、彼女は倒れ、この店で息を引き取ったと。
     そして、最後に君の名を呼んだのだと、僕の手を握りしめながら、嗚咽を始めたのだった。

     最近娘の様子がおかしい。
     
     学校帰りが遅くなった。
     自室にこもり、携帯電話をいじってることが多くなった。
     やけに服装を気にし始めた。
     ダイエットするつもりなのか、とかくカロリーを気にし始めた。

     私はついに気になって聞いた。
     男でもできたのか、と。

     娘は一瞬驚いた様子だったが、キャハキャハと笑いながらこう言った。
    「男か女か、生まれてみないとわかんないかもねぇ」

    ズバッ!
     ・・・ドスン!

     殺ったぞ。
     忍びは、自らの手に残る感触を感じながら、使命達成を確信した。

    「はははは、馬鹿な忍びだ!」

     忍びが満足している時、突然ふすまが開いた。
     そこには、先ほど殺ったはずの殿様が、威風堂々と立っている。

    「愚か者め! 影武者がおると言うことも気づかぬのか!」

     影武者は高らかに笑い、自らの刀を抜き、忍びを始末しようとする。

    「おい! お前が何でそこにいるんだ!」

     別のふすまが開き、そこにはもう1人の影武者が。

    「今夜は俺の当番だったはずだが、何でお前がそこにいるんだ!」
    「おかしいな、来週の月曜日と交代しようって言ったのは、お前じゃないか!」

     ガラリ。
     天井から1人の男が飛び降りてくる。
    「おいおい、その約束をしたのは俺とのはずだぞ。仮眠中ってのに、うるさくて眠れやしない!」
     3人目の影武者は、言い争う2人の影武者の間に割って入る。

     不思議な沈黙が流れた。
     忍びが身を起こし、先ほど絶命した男の様子を探り始める。
     その様子を、3人の影武者が見守る。
     そして、あることに気がついたらしく、3人そろって忍びを罵倒する。

    「馬鹿め! 影武者はこっちだ! そっちは本物よ!」

    「いらっしゃいませ。本日は初めてのご来店ですか」
    「まあ・・・そうなんですけど」
    「それでは早速ご説明をさせていただきます。当社は”ご利用は計画的に”をモットーにしておりまして、みなさまのライフプランに合わせた返済プランをご提案し続けております」
    「はぁ・・・それはいいんですけど」
    「よろしゅうございますか。それではお借り入れのご希望がございましたら、早速承ります」

    「トイレ貸してくれませんか・・・そのつもりで入っただけなんです」

    「どうしても今日は東京に行かなくちゃいけないんだ。ストライキは回避できないのかい?」
     スーツ姿の男は、搭乗カウンターで係員に詰め寄る。

    「あいにく、ストライキは継続中で・・・今週中の打開は難しいように聞いています」
    「ああ、こんなことなら新幹線にしておくんだった・・・」
    「お客様、新幹線もストライキ中です。あと高速バスも。日本中の交通機関がストライキ中なものでして」
     途方にくれる男に、淡々と現実を語る係員。

    「もう分かったから、電話ボックスを教えてくれないか」
     係員の説明じみた話を、男はさえぎる。
    「電話ボックスですか?それなら、空港の1階入り口にありますけど・・・」
     詳しい説明はもう結構。
     男は右手で係員の話をやめさせる。

    「自分で行ったほうが早いや」
     ネクタイをはずし、ワイシャツの下に「S」のマークの付いたコスチュームを着た男は、赤いマントをスーツケースから取り出しながら、電話ボックスに向かった。

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    ▼ プロフィール
    HN:
    たそがれイリー
    年齢:
    50
    性別:
    男性
    誕生日:
    1975/07/16
    ▼ 最新TB
    ▼ 最新CM
    [04/29 hikaku]
    [03/13 ごま]
    [10/16 melodies]
    [09/18 sirube]
    [09/16 よう子]
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